ぶどう【くろまめ日記】
インターホンがなって、家に大きなぶどうが届いた!
お母さんが小さな声で「立派なぶどう!すごいなぁ」って言った。
お姉ちゃんが帰ってきてから食べるんだって、冷蔵庫に入れていた。
ぶどうから、なつかしいような匂いがした。
前に住んでいたところの匂いだ。
お母さんたちと前に住んでいたところは、水の匂いがたくさんした。
たっぷりの水が流れる川や池を見ながら行くお散歩は楽しかったし、田んぼには緑色だったり金色だったりと季節で変わるきれいな色の作物(お米)があった。
ぶどうから、あの懐かしい場所の空気の匂いがしたんだ。
お姉ちゃんたちがテーブルでぶどうを食べながら、楽しそうにおしゃべりしていた。とってもおいしいらしい。ぼくはイヌだから食べられないのだけど、おいしそうだなぁって2人を見ていてうらやましかった。
ぶどうが大きくて、食べても食べてもなくならないから、お姉ちゃんたちのおしゃべりが続いていっぱい笑っていた。
ぼくはお姉ちゃんのおヒザの上に座って、ずっと背中を撫ぜてもらっていた。
お風呂から出てきたお母さんに、ぶどう食べてってお姉ちゃんがすすめていた。
ぶどうを送ってくれたのは、ぼくも大好きなケン君の、お母さんらしい。
久しぶりになつかしい声が聞けたと、お母さんがよろこんでいた。
お母さんたちのクリーム色とピンク色が混じった気持ちの色(ありがとうの色)が、ぼくには見えた。
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