56.神との対話【解説】P107~109 人生が上向く方法「”悪い”状況が長引く理由」
前回、ニールさんは神さまに人生が上向く方法をたずねました。
神さまは、最初に人間のもつ特質──人には神と同様に創造力があり、ものごとは思考、言葉、行動によって現実化すること──を説き、
次に人生が上向くときは、神と協力し合うことを選んだときだと言われました。
ちなみにここでいう神というのは、宗教でいわれる特定の神ではなく、ハイアーセルフのことです。
ハイアーセルフというのは、小さな個々人の高波動の魂ではなく、神の波動まで届く大きな波動域をもつ存在だからです。
仏教でいわれてきた「人は死ぬと仏になる」というのは、死ぬとハイアーセルフに吸収されるという意味で真実なのです。
神さまは、人生が上向くには「本来の自分らしく”神として”考え、話し、行動すると良い」と、言われました。
そのためにはまず、自分の行動、言葉、心の動きを常に監視する(モニタリングする)クセを身に着ける必要がありますが、
前回、それは意外と簡単にできるようになったことを、私の実体験として書きました。
神さまも「真の天性(無条件に愛すること)を意識的に表現する」ことを第二の天性と呼んで、
誰もが自分の内面や行動をモニタリングすることは可能だと言われています。
また、言葉と行動はたやすく変えることができても、思考や感情を変えることが私には難しく感じてきたことなども書きました。
しかしそれも、ただ決意が足らないだけなのかも知れません。
前回の内容をまとめると、人生を上向きにするには、自分の思考や言動を観察し続ける(モニタリングする)ことを身に着け、神としての自分へと「思考や言動」を変えていくことが必要なのです。
107ページでは、以上の内容を受けてニールさんが質問されています。
すみませんが、そんなふうにいちいち自分の言動を検閲していたら、「愚鈍で退屈な人間」になってしまいませんか?
神との対話1 P107
神さまはニールさんに、
”違った人間にはなるが、愚鈍で退屈だということにはならない”ことをお話されました。
そして仏陀やイエスのことを、退屈でつまらない人間だと思う人は存在せず、むしろ周りに集まってそばに居たいと人々が願ったことをお話されました。
ふつうではないかもしれないし、非凡かもしれない。
神との対話1 P107
だが、退屈ではない。
次に、神のように考えること、話すことについて説明されました。
あなたの高いヴィジョンにそぐわない考えが浮かんだら、そのとき、その場で「新しい考え」に変えなさい。
神との対話1 P107
立派な考え方にそぐわないことを言ってしまったら、二度とするまいと心に銘記しなさい。
最善の意図にそぐわないことをしたら、これを最後にしようと決意しなさい。そして、できれば関係者たちに訂正してまわりなさい。
ここでニールさんは、そういう言動をとることが「不正直なことだ」と神さまに伝えました。
体調が悪くても、破産していても、とんでもなく動揺していても、顔に出すなということは、確かに不正直なことのように思えます。
神さまは、次のように答えられました。
問題を無視したり、問題などないふりをしろと言えているのではないんだよ。
神との対話1 P108
状況をきちんと意識し、気高い自分の姿に照らして語りなさいということだ。
そして「破産」を例に出して、多くの人の心情と経験をお話されました。
あなたは「破産は悪いことだ」「恐ろしいことだ」「自分は悪い人間だ。良い人間なら一生懸命働くし、破産なんかすまいと努力するだろうに」などと考える。
その考えが、「破産」の経験を支配する。「わたしは破産した」「一文無しだ」「もう金がない」というあなたの言葉によって、破産している期間が決まる。
それをとりまく行動が──自分を憐れんだり、落ち込んだり、「どうせ、だめなんだ」と思って、脱出の道を探そうとしないことが──破産という現実を長引かせる。
神との対話1 P108
つまり、病気や金銭的問題や人間関係などの苦しい経験は、自分の思考や言葉によってその期間が決まり、またネガティブな行動によって苦しい現実を長引かせることになると、言われたのです。
では、私たちは苦しい現実をどのように捉え、考えると良いのでしょうか。
神さまは以下のようにお話されています。
1.宇宙には「良い」も「悪い」もなく、すべては中立的である。
すべてはあるがままである。だから、「破産」=悪いという価値判断はやめなさい。
2.すべての状況は一時的である。
どんなこともいつまでも同じままではないし、静止することはない。
だから、どちらの方向へ変わるかはあなた次第だ。
破産や病気や失恋は確かに今、「悪い」ことなのかも知れませんが、「あの事(破産や失恋)があったお陰で今の幸せがある」という場面にいつか変わる可能性が、たくさんあります。
悪いと決めつけて長く落ち込み続けたり怒りを増幅させたりしないで、創造力をもつ自分の力を信じて生きることを神さまが説明されました。
私自身、そのような経験──一見悪い状況が、そのお陰ですさまじく好転したこと──が、この人生で何度もありました。
悪い状況は、ビッグチャンスでもあるのです。
この考え方を身につければ、起きてくる出来事があまり変わらなかったとしても、私たちは生きるのがずいぶん楽になります。
また、問題への対処が上手になり、問題を乗り切ることが簡単になります。
ここでニールさんは、
”「信じる者は救われる」という考え方をもつ病人がいて、きっと良くなると信じて口にもしていたのに、六週間後に亡くなったという場合はどうなのですか?”
という質問をされました。
このことは確かに、昔は私自身も同様に思っていたことでした。
誰も死にたくないはずなのに、全員がいつかは老いを迎え、死を迎えるのです。
強く信じていても、必ず死の時はやってきます。
神さまの言うことは間違っているのでしょうか?
次回に続きます。
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