88.神との対話【解説】P193~198 神のメッセンジャー
前回まで、神さまはいかにして良い人間関係を創るのか、出会いから継続まで、その方法を教えてくださいました。
まず、素晴らしい出会いを得る前に、「その出会いは何のためにあるのか、その出会いで自分は何を得るのか、どうなりたいのか」等、出会いの目的をはっきりさせることが大切だと言われました。
「目的」がはっきりしていれば、その目的に叶う相手を見つけやすくなるでしょうし、同じ目的をもつ人と手を取り合って目標に向かい、前進することができるはずです。
そしてその関係は「義務」ではなく、「お互いの成長の機会を創り出すこと」と考えると良いそうです。
それは自由で、お互いがのびやかに成長できる関係です。
ここが素晴らしい出会いの出発点なのだと、神さまは言われました。
ニールさんは、(人間関係の)成功…例えば恋心の成就や結婚…の確証が欲しくて、「保証はされないのか」と質問をしましたが、神さまは人生は本質的に保証のないものであり、そうでなければ人生の目的そのものが損なわれてしまうと、言われました。
私たちは体験し、幸せになるためにこの世に生まれました。
どのような体験も…一見失敗と思えることも…すべて必要な体験であり、成長のための心の糧となるものです。
次に、そうして得られた”出会い”を継続するために、「難題や困難を避けようとしてはいけない」とお話されました。それどころか、難題や困難を歓迎し、神からの偉大な贈り物だと思いなさいとのことでした。そして困難にぶつかったときには、「パートナーを敵だの対立相手だのと考えないように努力しなさい」と言われました。続けて「すべての問題をチャンスだととらえる力を養いなさい」とお話されています。
「すべての問題はチャンスである」と、今や多くの人生の成功者が自らの経験をもってお話されています。
これは、成功哲学の中枢にある考えかたです。
私自身もそのような経験がありますし、「あの問題があったから今の幸せがある」と涙ながらに語る人を見てきました。
けれども「問題」のさ中にいる時は、その問題が後からどのように素晴らしく自分を成長させ、より一層の幸福感を得られるのか分かるはずもありません。ただ辛くて不安な時もあるでしょう。
そんな「問題」を、最初から「これはチャンスだ」ととらえるよう、神様は促していらっしゃいました。
問題を乗り越えた二人はお互いを成長させ、「魂の目覚め」を経験することになります。
魂の目覚めは、ある人には突然起きるでしょうし、ある人にはじんわりと心身に染みわたるような気付きとして経験することもあるでしょう。人それぞれに、異なる感覚だと思います。
いずれにしても、私たちはみな、人間関係をもって自分を知り、成長し、目覚めていきます。
さらに、神さまは私たちに「ほんとうの自分を思い出す」ことを勧めています。
”私”がいつも「ほんとうの自分」を思い出して、素のままでいられれば、”相手”も「飾った自分、無理している自分、強く見せようとしている自分、弱いままの自分」でいる必要はありません。
神さまは”いつもほんとうの自分を思い出してみせていれば、いつかは相手もほんとうの自分を思い出す。ひとはあなたのなかに自分自身を見るから”と、アドバイスを下さいました。
ここからが今日のお話です。
「ほんとうの自分」を思い出すために、そしてそれを含めた「永遠の真実」をはっきりと示すために、神さまはこれまでおおぜいの<マスター>を地上に送ってきたのだと言われました。
永遠の真実をはっきりと示すために、おおぜいの<マスター>が地上に送られてきた。
また洗礼者ヨハネのように、メッセンジャーとして輝かしい言葉で真実を伝えるため、間違いようのないはっきりした言葉で神を語るために送られたひとたちもいる。こうした特別なメッセンジャーは、非凡な洞察力と、永遠の真実を見抜いて受け入れる特殊な力、それに複雑な概念を大衆が理解し、実践できるように伝える能力に恵まれていた。
神との対話1 P193
この後、神さまはニールさんに、
あなたもそんなメッセンジャーのひとりだ。
と続けました。
ニールさんは驚き、そして謙遜しました。自分の自意識について話し、自意識過剰の自分と戦ってきたことを神さまに伝えました。
神さまは、「だが、神に関するかぎり、あなたはつねに自意識を捨てていた。」と、ニールさんに伝えました。
そして、ニールさんが、自意識の外で心底から、「真実を知ることや洞察力を与えてほしい」と熱望し、願ってきたこと。また、「もしそれらを知ることができたなら、残る生涯の目覚めている時のすべてを、永遠の真実をひとに分かち与えるために捧げる」と神に約束していたこと。そしてそれは自身が栄光を得たいためではなくて、ひとの苦しみや痛みを終わらせ、歓喜をもたらし、助け、癒すことを心から望んでいたこと。そして、
神と協力関係にあるという自分が味わった思いを通じて、もう一度ひととつながりをもちたいと思ったためだった。
以上のように、神さまはニールさんについてお話されました。
ニールさんは、他人から得られる賞賛や名誉や金銭が欲しいからではなく、純粋に、「神と繫がり、神と協力してひとに真実を分かち合いたい」と願い、またそのような”自分”として、ひとと繫がりを持ちたかったのです。
だから、あなたをメッセンジャーとして選んだのだ。
神との対話1 P195
あなたを、そしてほかの多くの人たちを、わたしは選んだ。
なぜなら、いま、そしてこれからしばらくの間、世界には、神の言葉をほがらかに響かせるたくさんのトランペットが必要だからだ。
おおぜいが切望している真実と癒しの言葉を語る多くの声が必要だからだ。
集まってともに魂の仕事をするたくさんの心が、神の仕事をする準備ができているたくさんの心が必要だからだ。
この言葉を聞いたニールさんは、とてもドキドキしたと思います。
まさか自分がという気持ちと、喜びと、緊張感がこちらに伝わってくるようです。
そして同時に、不安にも襲われたことでしょう。
神さまは、ニールさんの心にある不安を確かめるかのように幾つかの質問をして、そして言いました。
義務だからするのではなく、チャンスだから実行しなさい。
このやりとりを本に記すかどうかだが、どうしてためらうのか?
わたしがあなたを内緒でメッセンジャーにしたがっていると思うのか?
また、ニールさんの不安をはっきりと言葉にされました。
自分は神につかわされた人間だと言い切るのには、非常に勇気がいる。
神との対話1 P196
知っているだろうが、世界はほかのことなら何でも受け入れても、神につかわされた人間は受け入れたがらない、そうではないか?
神のメッセンジャーはどうか?
わたしのメッセンジャーはひとり残らず、おとしめられてきた。
栄光を得るどころか、心痛以外の何も得られなかった。
この後、それでもやるのかどうか、その覚悟はできているか、神さまはニールさんに問いました。
ニールさんは不安な気持ちを持ったまま、このお話を明るく終えることを提案しました。
すると神さまは、「ほんとうの神のお話」を書き上げる”男”の物語を、ジョークでお話されました。
ここで第8章は終わっています。
「神との対話」は、宗教哲学を紹介するスピリチュアル本だと、私は考えています。
宗教は人間が組織として育ててきましたが、そのおおもとには、愛、喜び、自由という幸せを追求する哲学があります。
そして神こそが愛と喜びと自由なのですが、神=自分でもあります。
この本のなかで何度も伝えられてきましたが、私たちは本当は、ただ”ほんとうの自分=神”を思い出すだけでいいのです。
しかし思い出すにはたくさんの経験と機会が必要です。
その機会の一つとして、この本があり、読者を含めてこの本に関わるたくさんの人々がいるのだと思いました。
また、確かに今、この本が日本で出版された25年前と比べると、多くの方々が自分と繋がることに興味を持ちだしています。
神さまがここで言われた神の言葉を伝える─それが”神”の言葉として知らしめられていなくても─「トランペット」を吹く人がどんどん増えていて、朗らかなトランペットの音に扇動された幸せな人たちが確実に増えていることも分かります。
今日はここまでです。
次回からは、「ほんとうの自分」を思い出すことについて、神さまからお話があります。


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